お皿がピカピカになれば、「お金持ちになれる」と本気で

我が家のお皿には、金縁も唐草模様もありませんでした。私は、「白く輝くお皿があれば、お金持ちになれるのだ」と思っていました。 私の母は渋好みで、我が家のお皿と言うお皿はほとんどが絵付けの和風のものや、焼き物風の茶系のお皿でした。中には高価なお皿も多少はあったそうですが、私の憧れの、真っ白で金縁のお皿は、ほんの数枚しかありませんでした。単に、これは母の好みの問題であったのですが、子供だった私としては、「お皿がお金持ちっぽくない」ということに不満を抱いていました。

ある日突然、私はお皿洗いを手伝うようになりました。母は不審がり、「どうして急にお皿洗いを手伝ってくれるの?」と言いました。私は「お皿をピカピカにしたいから」と答えました。お皿がピカピカになれば、「お金持ちになれる」と本気で思っていました。今思えば、あの頃の自分は何を考えていたのか、まったく分かりません。私の知っている中で、幼馴染の家が一番お金持ちだと信じて疑わなかったので、ああいったテイストのピカピカのお皿=大金持ちだと思っていたようです。

私がいつまでもお皿をふきんで磨いているので、母はますます不審がり、「そんなに磨かなくてもいいよ」と言いましたが、私はいつまでも磨いていました。子供ながら、かなり愚かな行動が続いていました。でも、お皿をいくら磨いたところで、一向に我が家が大金持ちになった気配はありませんでした。 私はある程度の期間で、お皿洗いのお手伝いをやめました。これ以上お皿を磨いても、お金持ちにならない、と観念したのでしょう。