幼馴染のひとりは、非常に大金持ちでした
幼馴染のひとりは、非常に大金持ちでした。いつもその子は、ほかの幼馴染とは一線を画すものを身につけていましたし、家に遊びに行っても最新のおもちゃや人形、ゲームがいっぱいで、私にはその家がお城に見えました。
2区画の広い敷地。1区画に家、残り1区画には、美しく手入れの行き届いた芝生が一面に広がっていました。水遣りが大変ということで、至る所にスプリンクラーが設置されており、庭には他にもその子のお父さんの趣味であるゴルフの練習場があったり、家庭菜園スペースがあったり、当時には珍しく2台の大きな高級車があったりで、いつも惚れ惚れと見蕩れていたものです。
我が家は非常にいい加減な家だったので、『3時のおやつ』という習慣はありませんでしたが、その家は非常にきっちりしたおうちで、厳しくしつけも行き届いていました。
その子のおうちに遊びにいくと、2時55分には、必ず手洗いとうがいをしなくてはならない決まりでした。2時58分になると、エプロンをかけられ、3時の鳩時計が鳴る時間にはきっちり席に着席し、『3時のおやつ』タイムが始まる決まりになっていました。あまりの分刻みの厳格さに最初は驚きましたが、だんだん慣れるようになりました。
ある日のおやつの飲み物は、紅茶でした。すべてのものが高級志向のおうちなので、紅茶もティーパックではなく、王朝風で金縁の、茶葉を沈めて淹れるタイプのティーポットでした。唐草模様の耐熱ガラスティーポットに魅せられた私は、「こういうものがあるおうちこそが、本当のお金持ちなのだな」と思いました。完全に、子供の短絡思考です。
また、おやつが乗っているお皿の美しさ。真っ白なお皿の縁に、浮彫の唐草模様が綺麗でした。